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"私の趣味~書道~"

2009年2月 井上真由美

井上真由美さん作
硯に水を数滴落とし墨をすり始めると、かすかな音が聞こえてくる。
水を少しずつ足しながらすり続けていると、あっという間に1時間くらい過ぎるのだが、まだ硯いっぱい分もすれていない。
正直面倒な作業なのだが、この単純作業が作品の善し悪しを決める大切な要因のひとつになるので気が抜けない。
と偉そうなことを書いているが、普段の稽古では墨汁を使うので、墨をすって書くのは1年のうち2ヶ月間くらい、展覧会に出品する作品を書くときだけだ。実は墨色にしても、先生に見ていただかないと濃いか薄いのか自信がもてないようなひよっ子である。

5年ほど前になるだろうか、子どもが習字を習いたいというので、書道をやっている母の薦めもあり、山田竹綾先生の教室に通い始めた。最初は付き添いのつもりだったのが、先生のご指導のおかげで今に至っている。

毎回教室に入ると、小学生や中高生に混じって、まず「点」や「はらい」といった基本点画を半紙に書く。それから今月の課題にとりかかる。

楷書、行書、草書、隷書、六朝体など毎月異なる書体を練習するのだが、草書になるとお手本を見ても元の字がいったい何なの見当もつかない。

何枚か書くと先生に見ていただく。先生はきっと直したいところがいっぱいあるのだろうが、一度にたくさんはおっしゃらない。
1回で直すところは、1箇所か2箇所。そして必ずどこかほめてくださるのだ。
直して持っていくと、「良くなったよ、次はここを・・・。」といった具合に段階的に指導してくださるので、書道以外にも学ぶ楽しさも教えていただいている気がする。

漢字(山田先生作)
私が属している大日本書芸院では、毎年6月に東京都美術館で展覧会が開催されており、優秀な作品には賞が贈られる。
1月末くらいから出品作品の制作にとりかかり、約2ヶ月間くらいで書き上げる。
2月には、展覧会の出品に向けて徳島県下の門下生が一同に集まり、錬成会が行われる。
本部(神奈川)の先生方や徳島在住の熟練した先生方にご指導いただける貴重な機会である。

高校生から年配の方まで総勢80名以上が集まり、朝の9時過ぎから午後3時頃までひたすら書き続ける。
さすがに終わる頃にはとても疲れるのだが、他の参加者の方の真剣に取り組む姿勢が刺激になり、自分もがんばらなくては、という気持ちにさせられる。

それにしても、熟練した先生方の筆の運ぶ姿はとても美しく、思わず見入ってしまう。あの境地まで行き着くには、あと何十年かかることだろう。一生かかっても無理かも知れない。

ちなみに、毎年昇級試験があるのだが、昨年の試験でようやく準師範になることができた。これまでは、とりあえず毎年ひとつずつでも上がればいいかとのんびりやってきたが、自分よりも後から始めた方達に追い越されたりすると、さすがに危機感を覚え、提出するまでの2ヶ月間はこれまで以上の枚数を書いた。なかなか思うように書けなくて、落ち込んだりイライラしたり、肩や腕が痛くなったりもしたが、とにかく書かないとうまくならないということが身にしみてわかった。

書道というと、地味でおとなしく暗いイメージを持たれる方もいるかと思うが、非常に奥深いものであることがようやく分かりかけてきた。墨色、濃淡、空間の使い方、運筆、にじみ、かすれ、紙などさまざまな要素が作品を構成する。

前衛(山田先生作)
例えば、墨でも黒のみではなく、青、茶、紫などがあり、それらを使い分けたり混ぜたりする。また、水も水道水ではなく天然水を用いるのが良いそうだ。

紙にしても、1枚数百円~数千円のものなど、それだけでも芸術品と思えるようなものもあり、私レベルでは使うのがもったいないくらいだ。

私はまだ漢字二行の作品にしか取り組んだことがないが、「漢字」の他にも、「仮名」「前衛」「近代詩文」など、いくつかのジャンルがある。「前衛」、「近代詩文」などは、一般的になじみが薄いかと思うので、今回山田先生の作品の写真を無理をいってお借りした。
「近代詩文」の作品は、内閣総理大臣賞をお取りになったものである。

近代詩文(山田先生作)
私自身の作品は昨年の3月頃に書いたもので、大変未熟であることだけはよく分かる。それでも、少しずつでもうまくなることを信じて、これからも精進したいと思う。いつか味わいのある字を書けるようになりたいものだ。

なお、徳島でも毎年7月に徳島県支部の連合会展が開催されている。
また、来年は東京都美術館が改装のため、展覧会が郷土文化会館で開催されるので、お時間が許せばぜひ足をお運びいただけれけば幸いである。


※最初の漢字2行の作品以外は、すべて山田竹綾先生の作品です。

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